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法務省「部落差別解消法」 第6条実態調査結果を公表

 平成28年12月16日に公布・施行された「部落差別の解消の推進に関する法律」には、教育・啓発の推進をはじめ、人権相談体制の充実、部落差別の実態調査の実施が明記されています。
 この実体調査は、平成30年度から令和元年度にかけて法務省が実施し、今般調査結果を公表しましたので、概要を掲載すると共に、当会の調査結果について掲載致します。

部落差別の解消の推進に関する法律(平成28年法律第109号)(抜粋)

(部落差別の実態に係る調査)
第6条国は、部落差別の解消に関する施策の実施に資するため、地方公共団体の協力を得て、部落差別の実態に係 る調査を行うものとする。
附帯決議(平成28年12月8日参議院法務委員会)(抜粋)
国及び地方公共団体は、本法に基づく部落差別の解消に関する施策を実施するに当たり、地域社会の実情を踏まえ つつ、次の事項について格段の配慮をすべきである。
〔略〕
三 国は、部落差別の解消に関する施策の実施に資するための部落差別の実態に係る調査を実施するに当たっては、 当該調査により新たな差別を生むことがないように留意しつつ、それが真に部落差別の解消に資するものとなるよ う、その内容、手法等について慎重に検討すること。

部落差別の解消の推進に関する法律第6条に基づく調査の内容について

有識者会議において実施すべきとされた調査内容

 1 法務省の人権擁護機関が把握する差別事例の調査

 2 地方公共団体(教育委員会を含む)が把握する差別事例の調査

 3 インターネット上の部落差別の実態に係る調査

 4 一般国民に対する意識調査

部落差別の解消の推進に関する法律第6条に基づく調査結果の概要

 1 法務省の人権擁護機関が把握する差別事例の調査の結果
  (人権相談:H27~H29 人権侵犯事件:H25~H29 について調査)
  • 人権相談・人権侵犯事件とも件数はおおむね横ばいであり,人権相談全体の0.2%弱,人権侵犯事件全体の0.5%前後を占める
  • インターネット上の事件が増加傾向にあり,その大半が識別情報の摘示
  • 実社会の事件では「その他」を除くと結婚・交際,差別落書き等の表現行為,特定個人に対する誹謗中傷等
  • 地域差が大きく,人権相談・人権侵犯事件とも大阪ブロックが最多で全国の30%前後
 2 地方公共団体等が把握する差別事例の調査の結果
  (H25~H29 について調査)
  • 件数はおおむね横ばい
  • 「その他」を除くと差別表現が大部分,次いで結婚・交際,雇用
  • 差別表現の相談件数は東京ブロックと大阪ブロックが多数を占める
  • 差別表現の多くは特定人を対象としないものであり,その約半数はインターネット上のもの
 3 インターネット上の部落差別の実態に係る調査の結果
  (R1.6時点のウェブページのサンプル調査と過去1年間の閲覧者 数調査を実施)
  • 識別情報の摘示,特定個人に対する誹謗中傷,不特定者に対する
  • 誹謗中傷のいずれも一定数あり 閲覧者が比較的多いのは識別情報の摘示,特定個人に対する誹謗
  • 中傷識別情報の摘示,不特定者に対する誹謗中傷の情報は,特定のウェブサイトへの集中傾向
  • 差別的な意図で閲覧しているとうかがわれる者が一定数存在
 4 一般国民に対する意識調査の結果
  (R1.8~9にかけて調査を実施)
  • 主として学校教育を通じて人権意識は定着
  • 多くの者が部落差別は不当な差別と知っている一方で,特に交際・結婚相手についての偏見・差別意識が残る
  • 西日本や中高年齢層では,被害・加害経験のある者の割合や部落差別(同和問題)に関する関心が高い一方で,差別解消のための取組に消極的な意識を持つ者も見られる

 部落差別の実態

  • 発生しているのは主に①特定の者を対象とする表現行為,②特定の者を対象としない表現行為(識別情報の摘示を含む),③結婚・交際
     → ①②についてはインターネット上のものが増加傾向
  • 正しい理解が進む一方で,心理面における偏見,差別意識は依然として残る
  • インターネット上で部落差別関連情報を閲覧した者の一部には差別的な動機がうかがわれる

 今後の施策の在り方

  • 部落差別は依然として人権課題の重要な一類型→ 引き続き粘り強く適切に対応
  • 内容,方法等が国民から理解と共感を得られるような教育・啓発
  • 相談窓口の周知
  • 対応能力向上のための研修の充実
  • インターネット上の人権侵害情報に関して,関係省庁,地方公共団体,事業者と連携しつつ,積極的な取組を進める。

(法務省HPより)