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新年のご挨拶

このコロナ禍を生きるには、根拠のない迷信や陰謀などに迷わされず、
科学的(三密厳禁)に物事を追求する視点が大切です。
(同和問題の残滓の解消も正にここにある)


自由同和会京都府本部 会長 上田 藤兵衛
 謹んで新年あけましておめでとうございます。
 自由同和会京都府本部会長の上田藤兵衞です。
 よろしくお願い致します。
 さて、輝かしい新年にあたり、まずもって皆様方に新年のご挨拶を申し上げます。
 まず冒頭、今なお、楽観を許されない「新型コロナウイルス」感染症によりお亡くなりになられた方々に、哀悼の意を捧げますと共に、政府及び自治体や、医療関係から、医療現場での献身的に活動されている方々に、感謝と敬意を申し上げなければなりません。
 そして、これら感染症に関しましては、誤った情報や認識に基づく、感染者やの家族等への、不当な差別・偏見・いじめ・SNSでの誹謗中傷などの発生が危惧されております。
 このような行為は重大な人権侵害であり、皆様におかれましては、憶測やデマに惑わされず、行政機関の情報に基づき、冷静に行動して頂きたいと思います。
 さて、私たちも昨年3月以降、運動形態が大きく変化致しました。
 それは毎年、京都府・京都市をはじめ、府下市町村・各種団体・大学を訪問し、「人権教育啓発の推進に関する要請行動」を実施しているのですが、これら訪問を全て「中止」した事。
 また、毎年、開催している、定期大会や「人権セミナー」なども「中止」致しました。
 ただ、8月の人権強調月間と12月4日から10日までの人権週間での街頭啓発活動はもちろん3密をさけ、直接手渡しせずにかごに啓発グッズを入れ、各自で取って頂くように配慮しまして、withコロナ社会での人権問題の解消に向けた協力を呼びかけました。
 このように、コロナ禍により、私たちの社会・生活・働き方全てが一変致しました。
 ですから、このような状況を踏まえた、今後の運動のあり方を今一度、見直していかなければならないと思っています。
 皆様方におかれましては、引き続きご支援・ご協力賜りますようよろしくお願い致します。
 さて、私たちを取り巻く環境ですが、ご承知のとおり平成28年末に「部落差別解消法」が成立致しました。
 この「部落差別解消法」ですが、これまで33年間に渡り施行されて来ました同和対策に関する特別措置法が、平成14年の3月に失効し、既に17年が経過したにも係わらず、なぜこの法律が成立したのかということであります。
 それは、同和問題は減少傾向にあるとはいうものの、今なお因習や文化の中に現存する現状や、更には、一部の地方公共団体で同和施策が後退傾向にあること、そして、決定的なことはインターネットによる悪質で誹謗・中傷する差別書き込みによる人権侵犯事件が毎年増加傾向にあるからであります。
 このような状況を、私たちの友好政党である「自由民主党」の二階俊博幹事長へ何度も現状を訴え、そして協議をおこない、党内に委員会を立ち上げて、法案を策定して頂き、先ほども述べましたように、平成28年末に「部落差別解消法」が議員立法として成立したことをご確認頂きたいのであります。
 そして、この法律が成立してから、早や4年が経過したわけでありますが、この法律には、教育・啓発の推進や人権相談体制の充実などが明記されている事から、懸念されていた一部の地方公共団体での同和問題の取り組みや行動計画、そして、相談体制が見直されてきたことを考えますと一定の成果があったものと伺えます。
 同時に、法律の第6条には、「部落差別の実態調査」が明記されており、この実態調査は、平成30年度から令和元年度にかけて法務省・文部科学省により実施されたのであります。
 調査内容は
(1)法務省の人権擁護機関が把握する差別事例の調査
(2)地方公共団体・教育委員会含む、が把握する差別事例の調査
(3)インターネット上の部落差別の実態に係わる調査
(4)一般国民に対する、サンプル数1万の意識調査
の、4点についての実態調査が行なわれました。
 法務省は、この調査結果を昨年6月に公表されましたが、当会ではこの調査結果に対して「総じて、私どもが想定していた現状認識と一致しており、部落差別は完全に解決の方途にあることが証明された」とする見解を公表したところであります。
 ただ、教育や啓発については、課題もあることから、今後は、詳細な分析や検証作業を進めまして、運動の在り方を模索していかなければならないと考えております。
 このように、同和問題の現状を考えますときに、「もはや、同和問題は、解消過程にある」と言っても過言でなく、この法律が成立したからといって、決して、拡大解釈せずに、有効活用する事を基本としなければなりません。
 これまでのように「部落差別は、いまなお厳しい」と常套句を繰り返すのではなくて、もはや解消過程にあることを踏まえた運動をおこない、府民の理解と協力を得る取り組みが、重要ではないでしょうか・・・?
 しかし、他の運動団体は「部落差別はいまなお厳しい」とし、法律を踏まえて「条例」が必要だとして府下市町村へ要請行動を展開していると聞き及んでいます。
 たしかに、社会の流動化と共に、様変わりしている人権問題ですが、時代の変化と共に、私たちの運動も変化していかなければなりませんので、私たちは、このような「条例」制定には、「反対」している事をお伝えしておきたいと思います。
 そして、最も大事なのは、この法律は、あくまでも理念法であり、人権救済に関する条項がない事などを勘案すれば、いまもなお、人権侵害で悩み、苦しむ人たちを救済できる法律として、私たちが強く求めている「人権擁護法案」の成立こそが、私たちにとっての、使命であると思います。
 従いまして、私たちは、このような考えのもと、多くの皆様方のお力を頂く中で、今年一年しっかりと頑張って参りますので、ご支援、ご協力賜ります事をお願い致しまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。
 それでは、皆様方のご健勝と、ご多幸をお祈り致しまして、失礼致します。
 ありがとうございました。