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「ウトロ平和祈念館」を視察!

劣悪な環境の中で「力」を合わせ立ち上がり祈念館が完成!


祈念館前で田川館長を囲む役員
 自由同和会京都府本部(上田藤兵衞会長)では、令和4年11月14日(月)、午前10時「ウトロ平和祈念館」を視察しました。
 視察には、当会より、上田会長他役員が参加し「ウトロ平和祈念館」からは、田川明子館長(ウトロを守る会代表)、宇治市からは、伊賀和彦人権環境部部長・前田貴徳副部長・正垣憲一郎人権啓発課長、ウトロ住環境対策室・木積重樹参与、地元のウトロ町内会から山本源晙会長にもご出席頂きました。
 冒頭、上田会長より、視察のお礼を述べられ、挨拶の中で「昨年、8月に起きたウトロ地区放火事件に大きな衝撃を受けた」とし「放火とその動機が、確信犯の犯罪にあるからである」と、痛ましい事件に悲しみを訴えられました。
 更に「差別は解消過程にあると言われるが、このような人種や民族、また身分的差別も含めた偏見による事件は看過できない」とし「簡易・迅速・柔軟に、早期解決を目指す人権擁護法案の成立は不可欠である」と決意を述べられました。
 一方、田川館長からは、上田会長の熱い思いの挨拶に共感され「引き続き、ウトロ平和祈念館が憩いの場になるよう努力する」と述べられ、建設の経緯や経過説明、ウトロ地区の現状と課題などのご説明を頂きました。

御礼と決意を述べる上田会長
 資料によると、ウトロ地区は1940年から日本政府が推進した「京都飛行場建設」に集められた在日朝鮮人労働者たちの飯場跡に形成された集落で、徴用や貧困から逃れるために過酷な労働に従事するも日本の敗戦により工事が中断され放置された、終戦後、多くの労働者は帰国を希望するも、日本の植民地支配により故郷での生活基盤が破壊され、日本政府による財産の持ち出し制限、その他生計問題などで日本にとどまる人々が、行くあてもないまま自らの手で不毛の地を開拓しウトロを第二の故郷として根を下ろす。
 しかし、上下水道などの生活インフラが整備されず、劣悪な衛生環境が続き「深刻な人権問題」として生活改善を求める運動が始まるが、強制撤去を命じられ、訴訟へと発展するも敗訴し「不法占拠者」となる。
 多くの日本人支援者などウトロの人々に寄り添い「地上げ反対!ウトロを守る会」が結成され、敗訴したものの、2001年、国連社会権規約委員会において、ウトロの立ち退き問題に関する懸念と差別是正勧告が出され、韓国政府らの支援をうけ、土地購入のための市民募金運動が始まり、その結果、韓国政府が支援を表明し、土地の一部を買い取る合意書が締結され、ウトロの人々は強制退去の危機から脱出した。更には、日本政府や自治体も韓国政府の動きを受けて、2007年「ウトロ地区住環境改善検討協議会」が設置され、2017年に公的住宅が完成した。その後、地元側が所有している土地に、日韓の市民団体などが平和祈念館建設に取り組んだ。
 しかし、建築前の去年8月、このウトロ地区の建物が放火される事件が起こり、放火や器物損壊などの罪で、既に、無職の男性が逮捕され懲役4年が言い渡されていますが、その現場は、いまだ驚愕する悲惨な状態がそのままになっている。
 このような長い歴史の中で、今日の「ウトロ平和祈念館」が、ようやく本年4月に開館される。
 そして、念願の祈念館は、多くの人たちが集う憩いの場として築き上げられる!
 私たちは、このような劣悪な環境の中で、自らが立ち上がり、念願である祈念館を建設された地元の皆様から直接、声を聞くことで学習する事が出来ました。
 当日、ご対応頂きました皆様に心より感謝申し上げます。
 ありがとうございました。

ウトロ地区を視察する役員

放火事件跡地を視察する役員